星医会 東海大学医学部同窓会
 
 会報(第29号)
 〜平成15年9月1日発行〜


第9回星医会賞決定!!


 会員の皆様、第9回星医会賞受賞者が決定いたしましたのでご報告させていただきます。応募は5編ながら、いずれ劣らず創意と深慮に溢れた力作に、8名の選考委員の審査も揺れに揺れましたが、東海大学医学部外科学系心臓血管外科学部門所属、17期生の笠原啓史(カサハラ ヒロフミ)先生の“Biodegradable Gelatin Hydrogel Potentiates the Angiogenic Effect of FGF4 Plasmid in Rabbit Hindlimb Ischemia”が栄誉に輝きました。笠原先生は本年3月11日の星医会総会にて表彰され、万雷の拍手に迎えられました。先生、おめでとうございます。今後の益々のご活躍を祈念せずにはいられません。今号にて、先生の受賞論文の要旨をご紹介させていただきます。
 今回は賞を逃されはしましたが、ご応募いただきました先生方、ご協力いただきました各方面関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
さて星医会賞も次回は10回目の節目を迎え、賞金も20万円にアップします。卒後10年以内の若い情熱と斬新な創風に期待します。奮って応募してください。先輩会員の皆様も、周りに対象となる方がいらっしゃいましたら、激励と後押しをお願いいたします。来年は今年にも増して、審査
の先生方を大いに悩ましてあげてください。力作お待ちしております。
応募方法
1. 自薦・他薦は問わない 2. 論文は英語あるいは日本語とする
3. 資格は本会入会後10年未満の者とする(本年の場合は、14期生以下)
4. 締切は毎年11月30日 5. 別刷またはコピーを5部を申請用紙と共に提出する
*問合せ及び応募書類送付先:
    〒259-1143 神奈川県伊勢原市下糟屋143 東海大学医学部星医会事務局
     TEL:0463-93-1121(ext.4104) FAX:0463-91-5913



Biodegradable Gelatin Hydrogel Potentiates the Angiogenic Effect of Fibroblast
Growth Factor 4 Plasmid in Rabbit Hindlimb Ischemia


笠原 啓史(17期生)
 
 血管形成術やバイパス術などの既存の治療で効果のない重症虚血肢に対して血管新生因子を用いた遺伝子治療の有用性が報告されている。遺伝子治療において、ウイルスベクターの使用は高い遺伝子導入効率が得られるがウイルス感染による細胞障害等の副作用が指摘されており、安全の面から遺伝子単独投与法が行われることが多い。
この方法はウイルスベクターを用いないので副作用の危険性は低いが、投与したプラスミドDNAが細胞内に導入される前に生体内に存在する様々な核酸分解酵素によって分解され、また組織内に拡散してしまう可能性があり、有効な治療効果を得るには大量の遺伝子が必要となる可能性がある。以上の背景から非ウイルスベクターで安全かつ有効な遺伝子導入法として生体内徐放作用を有するゼラチンハイドロゲル(GHG)に注目した。
【目的】本研究はGHGが遺伝子導入効率を改善するかどうかと、血管新生因子である線維芽細胞増殖因子-4(fibroblast growth factor-4: FGF4)を用いた遺伝子治療でGHGが治療効果を増強するかどうかについて検討した。
【方法】プロトコール1(GHGの遺伝子導入効率改善に関する検討)放射性ヨードでラベルしたDNAとGHGをマウスの下腿に投与し、放射性活性の経時的変化からGHGがDNAの徐放に及ぼす効果を検討した。家兎下肢虚血モデルを用いて、GHGによる導入効率への効果及び遺伝子発現の空間的分布についてRT-PCR法、LacZを投与したs-Gal染色法でそれぞれ遺伝子単独投与群と比較検討した。
プロトコール2(GHGの遺伝子治療効果に対する検討)家兎下肢虚血モデルFGF4を投与しGHGの遺伝子治療効果に対する影響を検討した。
【結果】プロトコール1 放射化GHG単独、放射化DNAを吸着したGHG群は筋肉内の放射性活性が検出下限以下に達するのに28日を要したが、放射化DNA単独群では5日でそれに達した。RT-PCR法及びs-Gal染色法の検討で、GHG-DNA群はDNA単独群より遺伝子発現は空間的に広がり、GHGは導入効率を改善させることが示された。
プロトコール2 治療後の虚血肢の組織学的検討ではGHG-FGF4群はFGF4単独、及びコントロール群に比較して有意に改善した。マイクロスフェアーを用いた組織血流量の測定、及び単色放射光を用いた微小血管造影所見で、GHG-FGF4群のみが血管拡張剤投与時にbaselineに対して有意な血流増加を認めた。
【結論】GHG-FGF4遺伝子治療は血管新生を促進し、血管反応性に富んだ側副血行路を形成した。GHGによる遺伝子の徐放と導入効率の改善がそれに寄与したと考えられた。


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