星医会 東海大学医学部同窓会
 
 会報(第30号)
 〜平成16年3月1日発行〜


巻頭言
若 き 日 に
星医会理事 白石 光一(5期生)

 私は、母校の東海大学医学部の教員として働く毎日ですが、最近思うことは建学の理想に沿って教育や医療がなされているのか疑問を持っています。東海大学の建学の精神は今日も貫かれているのでしょうか。毎日の仕事に追われその精神的支柱を失っているように思えるのです。毎日が希望と喜びのある生活を持つために医学部創設時の思いにリバイバルする時期にきているように思います。そのためには建学の精神を考えてみたいと思います。
東海大学の建学の精神は、創設者松前重義先生の理想に集約されています。
  若き日に汝の思想を培え
  若き日に汝の体躯を養え
  若き日に汝の知能を磨け
  若き日に汝の希望を星につなげ

 松前重義先生はキリスト教無教会派の内村鑑三先生に師事され聖書にある神様の宇宙創造の摂理を学ばれておられたと学生時代に聞いた記憶があります。聖書:伝道者の書12章1節に「汝のわかき日に汝の造主を記えよ。即ち悪しき日の来り年のよりてわれは早何も楽しむところ無しと言にいたらざる先」私の勝手な解釈ですが、この聖書の御言葉から建学の精神は生まれてきたのだと思っています。若き日とは大学生のみを指しているのではなく、どんな世代も1秒1分でも早くという意味だと思います。混沌とした社会に出る前の学生時代によき理想を持つことは非常に大切ですが、現在の自分においても悪しき日が来る前にしっかりした支柱を持つことが大切だと思っています。松前重義先生はその支柱には思想、体躯、知能、希望をあげています。聖書では若き日にすべての造り主である神に出会い信じなさいと書いてあります。これらは矛盾することではなく真理を知ることにほかなりません。目の前のこと自分だけのことを思い生きていく限りこの真理との出会いは難しいでしょう。
 東海大学建学の精神は学生だけでなく卒業生、教職員に対していつも働きかけているのです。そこに希望がある限り。
 医療を含めた社会すべてが何か希望を失う方向に加速し進んでいるように思えます。聖書にはわざわいの日、「何の喜びもない」という年月と書かれています。どんな時代にあっても真理を求める姿勢は失望、不安から守ってくれるでしょう。大学病院勤務をしている自分にとって医学、医療における真理の探究は大切なことですが、何かそこに不安を感じているのです。心のそこから喜びを感じることができない環境が医学部、東海大学、日本社会、世界の中に渦巻いているのだと思います。
 ところで、大学生時代に初めて聖書に接し、部活では聖書を読む会で重田定義先生から多くの聖書の真理をいただきました。若き日に真理の御霊に出会い信じることができたことで東海大学の建学の精神である希望を星につなぐことができます。天地、宇宙創造の神を象徴する星に希望を持つことがもっとも大切であり、これから同じ仕事を続けても意味のまったく違ったものとなるでしょう。松前重義先生が掲げた精神は希望という一言に尽きると思います。医療、医学にこれからも若き日に希望が持てる環境をつくっていきたいと願っています。そして、医師としての喜びは患者の希望にもつながります。私達医療従事者が若き日の熱き思いを忘れずに歩むことが大切でしょう。


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