星医会 東海大学医学部同窓会
 
 会報(第31号)
 〜平成16年9月1日発行〜


第10回星医会賞決定!!


 星医会賞も本年度で10回目を数えました。その節目となる受賞者が決定いたしましたのでご報告させていただきます。応募総数は4編。例年に比べ、数は少ないものの、いずれの応募作もレベルが高く、選考委員一同、選出に相当苦慮されたと聞いております。その中で今回の受賞者は、東海大学大学院医学研究科外科系専攻整形外科所属の20期生、酒井大輔先生に決まりました。
 表題は”Transplantation of mesenchymal stem cells embedded in Atelocollagen gel to the intervertebral disc: a potential therapeutic model for disc degeneration.”です。今号で先生の受賞論文の要旨をご紹介させていただいておりますのでご高覧ください。
 受賞者の酒井先生は本年3月14日、星医会総会にて表彰されました。あらためてここにお祝いを述べさせていただきます。おめでとうございました。今後の益々のご活躍を熱望いたします。加えて、今回、ご応募いただきました先生方、ご協力いただきました各方面の関係者の皆様方に心より御礼申し上げます。
 もうひとつご報告をさせていただきます。星医会賞発起より10年間、選考委員をお努めいただいた初代医学部長、佐々木正五先生がその職を辞され、後進に責務を託されることになりました。ご尽力に感謝申し上げます。ささやかながら総会にて花束と記念品をもって謝辞にかえさせていただきました。佐々木先生本当にありがとうございました。
 同窓会の皆様に支えられながらの10年、星医会賞はまた新たな一歩を踏み出します。今後ともよろしくお願いいたします。そして、卒後10年未満の若手研究者の皆さん、未来と希望を背負っての応募をお待ちしています。


応募方法
 1. 自薦・他薦は問わない
 2. 論文は英語あるいは日本語とする
 3. 資格は本会入会後10年未満の者とする(本年の場合は、16期生以降)
 4. 締切は毎年11月30日
 5. 別刷またはコピーを5部を申請用紙と共に提出する

問合せ及び応募書類送付先
〒259-1143  神奈川県伊勢原市下糟屋143 東海大学星医会事務局
 TEL:0463-93-1121(内線4104) FAX:0463-91-5913



アテロコラーゲンゲルをスキャホールドとした間葉系幹細胞移植による
変性椎間板に対する治療法の開発 −基礎的研究−


酒井 大輔(20期生)
 
 【背景】腰痛はプライマリケア現場において2番目に多い主訴であるとされる。腰痛の原因となる椎間板変性は不可逆的変化であり、現在その変性を抑制または再生する一般化された治療法は存在しない。近年、椎間板変性疾患に対しサイトカイン・成長因子導入、遺伝子治療、自家椎間板細胞移植療法などを用いた治療法の開発が報告されているが、現在のところ一般化には至っていない。我々は間葉系幹細胞に着目し、その多分化能、多種類の細胞由来の豊富なサイトカイン、成長因子合成能多細胞に与える活性化能などを変性椎間板の再生に応用すべく、自家骨髄間葉系幹細胞を変性椎間板腔内に移植し、その変性抑制、再生効果を検討した。
 【材料および方法】1. 手術。家兎30羽を自然経過コントロール(NC)群、変性処置のみを施した変性(DG)群と間葉系幹細胞移植(MSC)群 に分け、MSC移植群のみ骨髄より間葉系幹細胞を分離した。また同時にDG群とMSC移植群に対しL2/3、L3/4、L4/5椎間板を展開し、髄核を0.005 - 0.08g 吸引し変性処置を施した。 2. 移植細胞の準備。付着した間葉系幹細胞にアデノウイルスベクターを用いてLacZ遺伝子を導入し、マーキングを行ったのちにDMEM培地処理した0.3%アテロコラーゲンゲル内に5×105個/mlで包埋した。変性処置施行2週間後、再度全身麻酔下に変性処理を施した椎間板を展開、アテロコラーゲン/間葉系幹細胞混合物を27Gマイクロインジェクターを用いて移植した。 3. 評価。MSC移植群における2、4、8週時に各群を屠殺し、パラフィン切片を作成、HE、Safranin-O染色と椎間板変性度分類を用いた組織学的検討とプロテオグリカンについての免疫組織学的検討、さらに抗βガラクトシダ−ゼ染色を行い、移植細胞の生着確認と移植後の増殖能を検討した。
 【結果】間葉系幹細胞移植8週後の肉眼像ではDG群に比べ髄核組織のMSC移植群で再構築を明らかに認めた。組織学的検討においては椎間板変性度分類でDG群が平均Grade 4.6、 MSC移植群はGrade 1.8と有意に線維輪構造が保たれていた。高倍率での検討によるとMSC群において移植された細胞は空砲を持つ円形の細胞集団と紡錐形の細胞集団の混在を認め、細胞間に細胞外基質を合成していた。Safranin-O染色とプロテオグリカンの免疫染色の結果DG群においては染色性の著しい低下を認めるも、MSC群においては染色性が高く、プロテオグリカン合成の回復が認められた。
 【考察】今回の実験結果より変性処置を施した椎間板腔内に骨髄間葉系幹細胞を移植することで椎間板高、椎間板の形態学的構造、プロテオグリカン合成などの再生効果を確認した。いずれもNC群と比べれば完全なる変性抑制、再生ではないが、DG群と比べた場合、各項目でその変性抑制あるいは再生効果が有意に優れていた。以上より、骨髄間葉系幹細胞移植療法は椎間板変性疾患に対する新たな治療法となりうる事が示唆された。


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