星医会 東海大学医学部同窓会
 
 会報(第35号)
 〜平成18年9月1日発行〜


第12回星医会賞決定!!


星医会賞担当理事 今岡千栄美(3期生)

 本年3月12日、星医会総会において星医会賞の表彰が行われました。
 星医会賞も本年で第12回を数えます。これまで激戦を勝ち抜いて受賞されてきた先生方のご活躍が聞こえてくる中、今年も素晴らしい研究があがってきました。
 応募論文は4編。この中から受賞の栄誉を勝ち取られたのが、東海大学医学部外科学系 整形外科所属 21期生、岩品徹先生です。高得点での受賞です。おめでとうございます。
 論文表題は“Low−intensity pulsed ultrasound stimulates cell proliferation and proteoglycan production in rabbit intervertebral disc cells cultured in alginate. ”です。
 そして、星医会奨励賞に東海大学医学部内科学系 神経内科所属18期生の小濱るり子先生が選ばれました。論文表題は“Direct inhibition by a stain of TNFα−induced leukocyte recruitment in rat pial venules−in vivo confocal microscopic study.”です。小濱先生おめでとうございます。
 最後に、残念ながら受賞には至りませんでしたが今回ご応募いただきました先生方、ご尽力、ご協力いただいた皆様方に心より御礼申し上げます。
 今号に岩品徹先生、小濱るり子先生の受賞論文の要旨を掲載しております。ぜひご精読ください。
 今年も既に、お二人の先生に続く卒後10年未満の若手研究諸氏の成果を募集受付しております。 もちろん、学外からのご応募も大歓迎です。
 高質の研究成果で賑わう星医会賞を期待しております。


第13回星医会賞募集!



  応募方法  (申請用紙は前頁)
    1. 自薦・他薦は問わない
    2. 論文は英語あるいは日本語とする
    3. 資格は本会入会後10年未満の者とする(本年の場合は、18期生以降)
    4. 締切は毎年11月30日
    5. 別刷またはコピーを5部を申請用紙と共に提出する

  問合せ及び応募書類送付先
     〒259-1143 神奈川県伊勢原市下糟屋143 東海大学星医会事務局
              TEL:0463-93-1121(内線4104) FAX:0463-91-5913



第12回星医会賞

低出力超音波パルス刺激が髄核および線維輪細胞に及ぼす影響
岩品 徹(21期生)

【背景・目的】
 我々は椎間板の機能維持、変性抑制に髄核細胞の活性化が重要であることを報告し、活性化髄核細胞再挿入術を考案、変性椎間板動物モデルにおいてその変性抑制効果を証明し現在、更なる活性化法を研究している。一方、近年、ラットの軟骨細胞において低出力超音波刺激(LIPUS)がproteoglycan(PG)合成能を上昇させることが報告されれている。今回、髄核細胞、線維輪細胞の単層及び3次元培養下にLIPUS刺激を行い、その後の細胞増殖能、蛋白合成能について検討したので報告する。
【方法】
 ニュージーランド産白色家兎20羽を屠殺後、椎間板から髄核、線維輪を分離、酵素処理した後単層培養した(培地DMEM+10%FBS)。単層培養後3継代目で1×106cell/mlの密度で1.2%Sodium Alginate solutionに細胞を浮遊させ、21G針を用いCACL2溶液中に滴下し、beadsを作成、6 well-multiplate、10 beads/wellにて三次元培養した。翌々日より7.5, 15, 30, 60, 120mW/cm2、1日10分で超音波照射を開始した。超音波照射装置は株式会社帝人より借用した(基本周波数:1.5MHz,繰返し周波数:1.0KHz,duty:20%)。Control(C)群とultrasound(US)群の2群に分け、照射後、5日、14日で各wellを評価した。DNA、PGの定量はHoechst33258、dimethylmethylene blueを用い吸光度を測定、定量した。DNA合成能、PG合成能の評価は、[3H]-thymidine,[35S]-sulfateの取り込み量をカウントして評価した。
【結果】
 DNA量は髄核細胞、線維輪細胞共に時間経過に従い増加したが比較的強度の低い7.5, 30mWの強度でUS群が優位差に上昇した。DNA合成能も同様に低い強度で上昇した。PG量は髄核細胞において2週の時点で30と60mWの強度でcontrol群と比べ優位に上昇した。線維輪細胞においては1週の時点の30, 60, 120mWの強度でUS群が優位に上昇した。
【考察・結語】
 低周波超音波刺激が髄核、線維輪細胞のPG合成能を高め、細胞を活性化させる可能性を示唆した。さらにPG合成は30, 60, 120mWの比較的高い強度で良い結果が得られた。逆にDNA合成に関しては7.5mWの比較的低い強度で上昇する傾向があった。髄核細胞は脊索細胞を含むヘテロな細胞集団であり、一定の傾向を示すもののまだ検討の余地があると思われた。LIPUS刺激が椎間板を構成する細胞のPG合成に影響を与え、椎間板の機能に対して促進的に働く可能性を示唆した。




星医会奨励賞

ラット脳表血管におけるTNFα惹起性白血球粘着に対する
スタチン系薬剤のin vivoにおける作用の検討
小濱 るり子(18期生)

【目的】
 近年HMG-CoA還元酵素阻害薬(以下スタチン)は、コレステロール低下作用とは別に、白血球粘着抑制作用があると報告されている。白血球粘着抑制作用は、スタチンがaLβ2 integrinのLFA-1領域に結合して、ICAM-1とaLβ2 integrinの結合を阻害することによると報告されている。さらに、脂溶性スタチンはLFA-1領域に結合しやすいが水溶性スタチンは結合しにくいことがin vitroにおいて報告されている。今回我々は、ラットの脳表血管におけるTNFa惹起性白血球粘着に対するSimvastatin(脂溶性スタチン)と Pravastatin(水溶性スタチン)の作用をconfocal laser scan microscope (CLSM)を用いて観察し、in vivoにおいて白血球粘着抑制作用の相違があるか否かを検討した。また、免疫組織化学にて接着分子であるICAM-1, P-selectinの脳血管における発現を検討した。脳組織のeNOSの発現をRT-PCR法を用いて検討した。
【方法】
 実験には成熟雄wistarラットを用い、以下の5グループに分けた。Normal control群、TNFa + Simvastatin前投与群、TNFa + Vehicle of Simvastatin前投与群、TNFa + Pravastatin前投与群、TNFa + Vehicle of Pravastatin前投与群。薬剤は1日1回3日間皮下投与した。 recombinant rat TNFa 0.5μgを観察4時間前に腹腔内投与することによって白血球粘着を惹起した。
1.ラット脳表血管における白血球粘着の観察
 ラットの左頭頂部頭蓋骨にcranial window (dura intact)を形成し、CLSMを用いて脳表血管の白血球動態を30秒間観察した。30秒以上同じ場所に止まっている白血球をadhesion、血管壁をゆっくり転がる白血球または一度血管壁に付着し再度血流にのって流れていく白血球をrollingと定義した。rollingまたはadhesionの個数は、白血球数/mm2と示した。
2.免疫組織化学染色
 ICAM-1は間接法、P-selectinはABC法で免疫組織化学染色を施行した。
3.RT-PCR
 ラットの脳を摘出後液体窒素で凍結し、RT-PCR法でeNOSのmRNAを測定した。
【結果】
 Simvastatin投与群では、Vehicle投与群に比べてadhesionの減少を認めた(276 ± 38 vs. 1155 ± 89 cells/mm2, P<0.01)。一方、Pravastatin投与群では、やや減少はしたものの有意差を認めなかった。rollingに関しては、両群ともやや減少はしたものの有意差を認めなかった。Simvastatinは、in vivoにおいてTNFα惹起性白血球粘着のうちadhesionを抑制した。P-selectin, ICAM-1とeNOSの発現に関しては、すべての群で有意差を認めなかった。
【考察】
 脂溶性スタチンは水溶性スタチンに比べて白血球粘着抑制効果をもつことを、in vivoで示した。




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