星医会 東海大学医学部同窓会
 
 会報(第35号)
 〜平成18年9月1日発行〜

第100回医師国家試験結果報告

第100回医師国家試験結果と今後の対策について
医師国家試験対策委員会 委員長 今井 裕

はじめに
 東海大学は他に先駆けて早くから米国の教育制度を取り入れ、「良医の育成」のための特色ある教育が行われてきた。しかしながら医師国家試験の合格率は、以前より決して高くはなく、その原因については、多くの面からきちんと検討し、対策を練る時期であるといえる。

1.第100回医師国家試験結果とその分析
 2006年2月に施行された第100回医師国家試験の受験者数は、新卒と既卒合わせて122 名で、その内訳は、新卒が101名、既卒が21名であった。試験結果は、新卒の合格者数90名(89.1%)、既卒の合格者数13名(61.9%)で、新卒・既卒合わせた合格者総数は103名(84.4%)であった(表1)。全国平均の国試合格率は90%で、本学の順位は国・公立を含めた全大学で80校中72位、私立大学29校中23位と低迷した。
 次に新卒者101名について、まず入学時の状況から成績をみてみると、帰国子女1名を除くと学士編入者の合格率は93.8%と高く、付属出身者と一般入試により入学した者の合格率は86.7%と88.4%とほぼ同等であった。学士編入者の合格率が高かった理由は、やはり医師になるというモティベーションが高いこと、年齢が高いため早く職業を持ち生活基盤をしっかりするという意識が強いことが挙げられる。


表1. 第100回 医師国家試験結果
受験者数 合格者数 不合格者数 合格率 全国平均
本学出身者 122 103 19 84.40% 90%
新卒者 101 90 11 89.10% 93%
既卒者 21 13 8 61.90% 57%


 また、総合試験のPart 1 で合格し、最も早くに卒業が決まった新卒者の中に、国家試験は不合格となった者が5名いた。彼らは国家試験を合格する実力は十分に備わっていたと思われるが、卒業試験終了後に気がゆるんでしまったのが最大の原因であり、誠に残念であった。一方、既卒者は21名が受験し、合格者数は13名(61.9%)であった。

2.今後の国家試験対策について
1)今年度の総合試験の方針について
 本年度は、総合試験Part 1の試験の期間が研修医マッチングの試験や面接と重なることを考慮に入れ、Part 1の試験を5回から4回に減らすことにした。これにより試験と試験との間隔をあけ、学生に十分に勉強できる時間を与えることができ、同時にマッチングの試験と重なる機会を減らすことができる効果がある。また、Part 1の試験範囲にも過去2年の国家試験を改変した問題を出題することにより、Part 1の試験は試験範囲となる科目ごとに準備問題集と過去2年分の国試問題を勉強することにより、実力をつけるための試験となる。
 昨年度、Part 1 試験合格者の中から5名の国試不合格者が出たことを踏まえて、本年度はPart 2の試験終了後にはじめて卒業判定を行う。また、本年度の総合試験の中で最大の変更点は、Part 2の試験範囲をすべて過去の国家試験を改変した問題の出題としたことにある。Part 2の試験範囲が全科目である点は、国家試験と同様に広い知識を求められる点で、学生諸君が自らの弱点を知るうえでも重要な試験となるはずである。

2)総合試験準備問題集の改訂について
 昨年度は、準備問題集の問題数を約900題削減し、同時にすべての問題約3,000題に厚生労働省が公表している国家試験出題基準のコードを付した。これを応用して出題基準に掲載されているのに準備問題集にない重要な問題を補うことを考えている。これにより学生諸君が国試問題と乖離していると指摘している準備問題集の問題をより実践的な問題集へと改変することを考えている。また、本年度からは総合試験の準備問題集の約40%の問題を基礎・重要問題と指定し、この中から5年次の夏季と冬季の実力試験を出題することにしている。したがって、6年生に進級した際には、準備問題集の約40%はすでに理解していることになり、6年次には残りの約60%を勉強すれば良いことになる。

3) 国家試験模試の受験体験について
 実際の医師国家試験は、3日間びっしりのスケジュールで試験が行われる。これまで学内の試験には、このような形式はなかった。また、これまでの受験者の中にはペース配分を誤ってしまった者、あるいは精神的なプレッシャーから失敗してしまった者がいたことが判明している。そこで対策の一つとして、これまでは学生主体で受験していた予備校の医師国家試験模試を大学から正式に申し込み、当大学にて本番の国試と同じ時間配分での模試を2回経験してもらうことにした。これらの模試の経験が本番での医師国家試験の受験に何らかの良い影響を与えることを期待している。

おわりに
 国家試験運営委員会の目標は、あくまでも全員が卒業ならびに国家試験合格を目指している。したがって、いかに学生諸君が効率よく医学生として必要な知識や技術を修得できるか、確実に国家試験に合格できるようにいかに教育を行うべきかについて検討している。決して国家試験に合格できる者とそうでない者を評価する委員会ではないことをご理解頂きたい。今後も、学生諸君と一緒に医師国家試験合格100%を目指して頑張りたいと考えている。




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