星医会 東海大学医学部同窓会
 
 会報(第36号)
 〜平成19年3月1日発行〜


特集

新臨床研修制度について
臨床研修に対する取り組み
東海大学医学部付属病院 臨床研修部長 高木 敦司

はじめに
 東海大学医学部は創立以来、「科学とヒューマニズムの融合」テーマに良医を育成するための教育を重んじ、患者を中心とした良質の医療提供を目指して、さまざまな先進的な取り組みを行ってきました。社会が要請する医師としては、幅広い人間的素養と総合診療能力のしっかりした土台が必要です。東海大学付属病院では以前よりスーパーローテート方式の初期研修を行い、将来の専攻する科に関わらず内科、外科、救急の診療能力を身につける研修医教育を行ってきました。これは平成16年度から開始された新医師研修制度を先取りするものでした。
 しかしながら、全国的な研修医の大学離れの影響や卒業生の都内の大学病院、市中病院での研修希望者が多く、東海大学では、平成19年度の採用予定者は48人に留まっています。そのため平成16年度より施行された臨床研修必修化のプログラムに関して、臨床研修医からの要望と臨床各科のアンケート結果から問題点を抽出し、平成20年度の研修プログラム改定案の作成に着手しました。

臨床研修制度の問題点
 多く寄せられた問題点を列挙すると以下のとおりです。従来のスーパーローテートでは、各研修科は2〜3ヶ月のある程度の長さで選択が可能であったが、新制度では基本が1ヶ月の細切れまたは3ヶ月であり、2ヶ月程度の一定のプログラムが作成できていない。現在の研修計画では、研修する病院は付属病院群を中心に選ぶことができるが、基本的に全員共通のプログラムであり、後期研修への継続性を出すことができない。さらに早くから将来の専攻を考えないため、2年目の12月になっても将来の専攻を決めかねている臨床研修医が多く認められる。従来のプログラムでは、内科系(含む未定者)は2年目にも内科が必修であり、1年目の浅い研修よりも2年目に廻るほうがより充実した研修が可能であり、屋根瓦方式になることから2年生は1年生の指導に当たることができていた。東海大学医学部付属病院は、大学病院でありながら高度な専門診療だけでなく、地域の基幹病院であることから、急性期疾患、プライマリな疾患を多く研修できるが、その点が十分にプログラムで生かされていない。そのため以下のような改正案を立案し、院内で議論しています。
  1. 原則的に2ヶ月を1単位として作成。
  2. 極力選択の余地を残しながら、将来の専攻別のコースすなわち、外科、内科、産婦人科・小児科、および救命・プライマリケアの4コースに分かれたプログラムを作成。
  3. 極力選択の余地を残しながら、将来の専攻別のコースすなわち、外科、内科、産婦人科・小児科、および救命・プライマリケアの4コースに分かれたプログラムを作成。
  4. 内科は2年目にも2ヶ月必修とする。
  5. 産婦人科・小児科コースでは「産婦人科」と「小児科」の研修期間2ヶ月を基本にどちらかを3ヶ月まで研修可能とする。
  6. 救急・プライマリケアコースでは、1年目に「地域医療(実地医家)」での研修を2ヶ月導入、さらに「麻酔科」、「救命救急科」を最大3ヶ月、「mICU(内科ICU)」を2ヶ月研修する。

後期研修プログラムとの関係
 前期から後期研修への継続性のあるプログラムを立案していますが、内科での取り組みをご紹介します。初期研修の後、内科ではいきなり各臓器別専門内科に入るのではなく、1年間は「内科」に所属して総合内科を中心に幅広い診療能力を養い、認定内科医資格を申請できる臨床経験ができるよう計画しています。その上で2年目以降に各専門内科の研修を目指しています。この結果、各専門医試験の条件となる内科認定医の早期取得が可能となっています。

おわりに
 2006年1月から付属新病院において診療が開始され1年が経ちましたが、最新の診療機器を備えた高機能病院として、がんや循環器疾患、消化器疾患などの最先端医療の一方、幅広い診療体制を充実させています。東海大学医学部付属病院はその地域性から市中病院と同様のコモン・ディジースの診療がかなりの割合を占めており、混合病棟では市中病院と同様の総合的な研修を行うことが可能です。東海大学医学部では2003年度から「医局講座」の壁をとりはらって教育・研究・診療を機能的に分離し、横断的・有機的な組織体制に移行しました。引き続き専門各領域の連携とアクティビティーの向上を目指しています。星医会の先生がたにも東海大学付属病院での研修のよりよき向上に、引き続きご支援をお願いしたいと考えています。




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