星医会 東海大学医学部同窓会
 
 会報(第36号)
 〜平成19年3月1日発行〜


新任教授紹介

「八王子病院発!」
病理診断学 教授 中村 雅登

 昨年4月より、基盤診療学系病理診断学の教授を拝命し、医学部付属八王子病院、病態診断科医長として赴任いたしました。本年度は小生が東海大学医学部に赴任してちょうど20年目にあたります。玉置元学部長(病理学教授)よりお話をいただき、縁あって、新天地、伊勢原に赴任した時のことが昨日のことの様に思い出されます。今は小田急線を京王線に変え、通っておりますが、新しい可能性に挑戦しようと、往時と同じような気持ちを抱いております。
 病理学は病気、病態の原因(病因)を科学的に論じる基礎医学の一部であるとされてきました。近年の分子生物学の進歩は基礎研究と臨床医学の距離を劇的に短縮し、これからの病理学研究の展開にあたっては従来の病理学手法に新しい技術を積極的に取り入れるとともに、総合的に人体における病態に関する何らかの帰結を常に研究の念頭においておく必要があると思い私は研究を行うにあたって、常に次の様な流れを考えてきました。
 ・ 臨床材料における発見あるいは解析結果→
 ・ 試験管内反応・培養細胞による解析→
 ・ ヒト病態モデル動物個体内における現象の確認
 ・ ヒト疾患の病態を説明する真の原因の解明→
 ・ 臨床へのフィードバック(新しい治療法、検査法の確立)
それぞれの研究は上記のいろいろな段階にありますが、最終的には病因の解明とそれを基にした新しい治療法の開発に結びつく研究が今日の病理学の使命と考えています。私は本学でも病理学教室に分子病理学研究室を設立し、がんのサイトカイン産生や抗癌剤多剤耐性機構などの分子病理学的研究、リボザイム用いた選択的遺伝子発現抑制について研究してきました。今後の病理学研究は広く学外諸研究機関と共同で臨床材料の解析から病因解明までの総合的展開を目指す必要があると思っております。
 いうまでもなく、臨床病理業務は病理学の重要な一角を担っております。八王子病院の業務は年間、病理解剖12件、細胞診3639件、病理組織診5969件、術中迅速組織診断276件と伊勢原本院に比べ小規模です(2005年度実績)。しかしながら、八王子病院の病態診断科では、業務を隔離することなく研究と一体化した形態をむしろ執りやすいとも言えます。私はこれまでも臨床腫瘍材料を起点とする分子臨床病理学的研究を行い多数の成果を報告してきました。八王子病院でもこの姿勢を堅持・発展させ、臨床材料を起点とした分子病理学的研究を行い、その成果を新しい病理診断法の確立へとつなげたいと思っております。臨床病理診断においては近年の厳しい社会環境の中で、限られた人員でいかに診断の精度を高め、維持していくかが問題となっております。八王子病院ではすでに病理診断情報の電子カルテ化、画像情報のデジタル化が積極的になされております。これらをうまく活用し八王子病院の病態診断科の機能を最大化し、新しい病理学をめざしたいと思っております。これまでに培った研究指導経験を生かし、そして東海大学医学部付属八王子病院がさらに高いレベルを目指せるように、各科のスタッフと協力し研究の重要性、意義を実践的に展開したいと思っております。「大学付属病院なんだから!」そして「八王子病院発!」をキーワードするつもりです。



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