星医会 東海大学医学部同窓会
 
 会報(第39号)
 〜平成20年9月1日発行〜


特集1
 新・旧病院長からのメッセージ

付属病院長就任にあたって
猪口 貞樹

 本年4月より、医学部付属病院長を拝命いたしました。できる限りの努力をする所存ですので、よろしくご支援のほどお願い申し上げます。
 皆様方も御承知のように、本学付属病院は、大学病院として学生・研修医などに教育の場を提供するとともに、特定機能病院として高度医療を提供しています。また高度救命救急センター・総合周産期センターを有し、がん診療拠点病院・災害拠点病院にも指定されており、特に神奈川県の湘南〜県西を中心とした地域医療において中心的な役割を担っています。既に、地域において欠かすことのできない存在と言えるものと考えております。
 このような様々な役割を円滑に実施するため、本学付属病院は皆様方のご支援を得て新築工事を行い、2年前に新病院が完成いたしました。現在は駐車場などの追加工事を実施しているところです。これによって、最新の設備・機器を備え、医療制度改革に合致した効率的運用が可能な病院にリニューアルすることができました。また病院の新築と同じ時期に、我が国全体で医療制度改革が行われました。包括医療(DPC)の導入、臨床研修必須化、情報開示、医療安全など医療における質の確保など、院内の体制面でも大きな変化を迫られましたが、教職員の多大な努力によって十分に対応することができました。最も困難な時期を乗り越えて、付属病院の診療能力は現在大幅に向上し、経営的にも極めて順調に推移しております。
 しかしながら、最近の我が国における医療をとりまく環境には、さらに一層厳しいものがあります。高齢化などに伴って医療需要が急速に増大する一方で、政府は社会保障費の伸びを削減し続けています。また、ここ10年における医療訴訟の増加に加えて、医療に対する過大な要求や院内における患者の暴力行為なども増加し、対応に苦慮しております。さらには米国における住宅バブルの崩壊、原油をはじめとする原材料の高騰によって、我が国の経済は再び不況に陥ろうとしております。
 このように不透明な状況下においても、今後とも本学付属病院は健全な経営状態を維持し、また必要な機能を果たしていかなければなりません。このために今後最も重要なのは、本学の将来を担う人材の養成であろうと考えております。
 本学には伊勢原の付属病院をはじめ4つの付属病院があり、またそれぞれの診療科の特性に応じた様々な関連施設、研修病院が存在します。優れた臨床医を養成するためには、各施設において実際の診療を通した体験的教育(on the job training)を継続することが最も重要であり、各施設へ恒常的に指導的人材を供給し、臨床教育の体制を維持しなければなりません。
 さらに、将来本学の中枢を担う人材を養成するためには、臨床教育だけでは不十分です。優れた臨床医であることに加えて、学生などに対する教育の能力、問題を抽出して論理的に解決していく研究者としての能力、様々な管理業務や経営に関する能力なども必要となります。このように多くの領域を総合的に学んでいくためには、診療・教育・研究があまりに分離された体制は好ましいとは言えません。付属病院は、医学部・大学院の機能とも一体になって、臨床系の教員として一層幅広い能力が習得できる体制を構築し、優れた人材を育成していかなければならないものと考えております。
 多くの人材が医学部・付属病院で専門研修を受けられるよう、人事面を拡充することも大変重要です。今年度から、臨床助手の給与処遇が大幅に改善されました。また来年度からは、大学院の改革によって、臨床助手として専門研修を受けながら大学院で学べるシステムが導入されました。さらに、育児期間中に経歴が途絶えない人事制度についても、現在議論を行っているところです。
 さらに改善すべきところは改善し、魅力のある研修プログラム・研修体制を構築して優れた人材が集まる環境を整備すること、そして本学の将来を担う指導的な医師を養成することが、最大の課題と考えておりますので、今後ともよろしくご支援のほどお願い申し上げます。


星医会の発展を望む        
      −病院長6年を卒業して−
幕内 博康

 平成14年4月に東海大学医学部付属病院の病院長を拝命して6年という歳月が過ぎました。その間、星医会の諸兄には大変なご協力を戴きました。感謝申し上げております。
 さて、この6年間を振り返ってみますと、病院の経営改善、診療のセンター化、創立30周年記念行事の一環としての新病院の建設、病院業務のシステム化、医療安全体制の確立、地域医療の中核として地域医療協力体制の構築、などに力を注いでまいりました。
 病院経営は、まず第1に無駄を省くこと、第2に地域の医療施設と協力し分業化して地域全体で住民の健康を守るための一翼を担うこと、などで健全化します。病院運営が他の企業とも変わるところがないのは、“いかに無駄を省くか”ということだと思います。薬剤、医材はもとより、維持運営や人材の点でも膨大な無駄が生じているのが病院運営であると思います。
 薬剤に関しては品目の適正化、購入費の見直し、定期的棚卸しなど薬剤部の協力によりかなり改善されています。しかし、化学療法や抗菌薬では極めて高価なものが開発され、医療経費率の上昇と不良在庫問題を誘起する危険性をはらんでいます。医材に関しては、まだまだ問題が山積しています。新しい医療材料が次々と開発され、それぞれ大変高価です。一生懸命働いてくれている医師の皆様に最良の医療を行って戴く手助けを可能な限り援助させていただきました。しかし、内視鏡下手術における各種医療器材は著しい発展をみせ、“停まるところを知らず”という勢いであります。また open surgeryでも自動縫合器、ヘモクリップなど、種々の機器が使用されています。さらにカテーテル類の種類の多さと価格が高いことも問題です。種類が多いとどうしても無駄になるものが増加してきます。例えば、心カテでカテーテルを2本も3本も使用すれば赤字となります。夜間の緊急心カテでは大赤字となることが多いようです。病院の建物の維持費なども大変なものです。最も大切なのは人材の問題です。優秀な医師達が十分な力を発揮して戴く環境作りは大切だと思います。優秀な医師や良く働く勤勉な医師を多く集めることが付属病院の発展、ひいては東海大学医学部の発展に欠くことのできないものと考えます。病院の建物、機材の維持運営にも莫大な経費を必要とし、この部分でも無駄が多く存在します。まだまだ取り組む必要のある点が多いと思います。
 さらに省くべき無駄があるということは、病院収入はもっと上がると言うことです。さらに上昇した収入は、そのために努力された医師、看護師、技師、事務職員に還元させたいものです。努力に応じて手当を増すべきで職員評価を活用させる必要があると思いますが、現在の職員評価システムは“労多くして効少ない”ものと言わざるを得ません。
 それに致しましても、当院の医師、看護師、技師、事務職員諸兄の一致団結した協力体制には、本当に頭の下がる気持ちで一杯です。これ程の協力体制は日本一であり、他の医療施設ではみられないものです。国立、市立、公立の医療施設には、反対のための反対をするグループが必ず存在するようです。当院では、全ての職域で、大多数の職員がひとりひとり病院運営に協力してくれていると思います。それが、本邦第2位、いや室料差額を除けば本邦第1位の成績を示している原動力だと思っています。PFM部門や入退院係の看護師、医事課の職員の方達、各病棟の師長さん達、各診療科の先生方達が皆スピーディーで高水準の医療と高回転を意識しての患者管理をして下さっています。手術室も出来るだけの件数を入れて下さっていますが、それでも毎週、積み残しが出ています。病院長最後の年の目標として“優秀な職員の獲得と待遇改善”を掲げさせていただきましたが、まだまだ不十分と言わざるを得ません。新病院長にも引き継いでいただくようお願い致しました。
 改めて星医会について考えてみますと、東海大学医学部の発展のためには、“星医会の更なる発展”が必須であると思います。そのためには、(1)東海大学医学部卒業生の全員が会員となること、(2)星医会総会には最優先で参加すること。毎年、総会の日を決めておき、ゴルフへ行ったりさせないこと、(3)強力な指導体制(数人でのトロイカ体制)を導入すること、(4)毎年、目標設定、年間事業を決めて強力に実行すること、(5)会員の一層の団結を図ること、などが大切です。真に東海大学医学部を愛し、東海大学医学部発展を切望し、東海大学医学部の卒業生であることに誇りを持つことです。また、誇れる東海大学医学部に育てるべく、卒業生の力を結集する必要があり、それが星医会執行部に望まれています。単なる仲良し倶楽部は衰退します。私も停年まで、あと1年半です。30年間、人生の最良の時を能力、体力の全てを捧げ尽くした東海大学医学部に最後の最後まで尽力させていただきます。諸君、共に頑張りましょう。




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