星医会 東海大学医学部同窓会
 
 会報(第39号)
 〜平成20年9月1日発行〜

医師国家試験結果報告

第102回医師国家試験を振り返って
医師国家試験対策委員会 委員長 今井 裕

東海大学卒業生の国試合格率
 今年の2月に施行された第102回医師国家試験の東海大学医学部受験者数は、新卒と既卒合わせて110 名で、その内訳は、新卒が97名、既卒が13名でありました。試験結果は新卒の合格者数が83名(85.6%)、既卒は5名(38.5%)で、新卒・既卒合わせた合格者総数は88名(80.0%)でした。一方、全大学の国試合格率の平均は90.6%と例年よりもむしろ高く、本学の順位は公立と私立を合わせた80校中79位、私立大学でも29校中28位の成績でした。昨年の第101回医師国家試験では新卒の合格者が97%であったのに対し、第102回の合格率は極めて不本意な結果でありました。
 昨年度の医師国家試験対策の具体的な内容は、第101回の国試の合格率が良かったために基本方針は全く変えずに行いましたが、卒業判定は昨年度と同じようには出来ませんでした。それは大学在籍12年目などの理由で、どうしても卒業させなければならない状況の学生が2名おり、卒業判定の合格基準を昨年度よりも下げざるを得なかったからです。そのために学力不足の学生諸君も数名卒業することになりました。しかし、どのような状況であっても本校を卒業させた学生諸君は、全員が医師国家試験に合格するようにしなければならない訳であり、我々の力不足をつくづく実感しています。一方、この2名に関しては、今後も彼らをきちんと見ていくつもりですし、彼らが将来医師として社会にいかに貢献しているかを見てから、今年の卒業判定が本当に正しかったのか、どうかについては改めて考えたいと思います。

最近の医師国家試験の出題内容
 第101回と第102回の医師国家試験における合格基準をみてみますと、一般問題は第101回が61.0%、第102回が65.0%、臨床実地問題は、それぞれ66.0%、66.5%、必修問題は、いずれも80.0%で、禁忌肢問題選択数も両試験とも2問以下でありました。それにも関わらず、全受験者の医師国家試験合格率の比較では、第101回は全体で87.9%、新卒で92.3%であるのに対し、第102回では全体で90.6%、新卒で94.4%であったことからは、明らかに第102回の試験問題の内容は平易であったと言えます。それにも関わらず本学の学生諸君の合格率が低かった理由は、何故でしょうか。
 最近の医師国家試験の出題内容を見てみますと、いくつかの特徴があります。例えば第102回の国試では、バイオテロに用いられる細菌やウイルスが問われており、新聞報道などで取りあげられるような時事的視点からの出題もみられました。また、最近の国試問題の特徴としては、臨床実習でしか得られないような事項、例えば手洗いの手順や咽頭培養に使用する器具を写真で選択させる問題、あるいは病棟で使用される輸液セットの点滴筒で設定すべき滴下数などが問われています。また、中心静脈カテーテルを挿入する際に針を刺す具体的な解剖学的位置やBabinski徴候を検査する際の足底のこすり方を問うなど、実際の臨床現場でしか学ぶことができないような内容も多く出題されています。これまでのように単に臨床実習を重視するといった曖昧な方針ではなく、もっと踏み込んで具体的な手技を学生諸君に教える必要があると言えます。また、カルテに記載するような図に関する出題もあり、学生自身がカルテに書くスケッチも大切であることがわかります。このように最近の医師国家試験が求める内容は、座学の講義や教科書で学ぶだけの知識では不十分であると言えます。

来年の医師国家試験に向けて
 次の医師国家試験の対策としては、これまで全教職員で行ってきた本校における国試対策の改革をさらに推し進める必要があります。具体的な内容としては、(1)医師国家試験出題基準を精読の必要性、(2)臨床現場を重視した教育の充実、(3)カルテに記載するような図やスケッチの重要性、(4)総合試験準備問題集の内容をさらに吟味する必要性、(5)医学教育に医師国家試験問題を積極的に活用などが挙げられます。これまでは、「国家試験対策などは単なる受験テクニックを覚えるだけで、大学で行うべき教育ではない。」と言われてきました。しかし、最近の医師国家試験問題の内容を良くみてみますと、国家試験は質の高いものに変わって来ていますし、真に臨床能力を有する医師を求めていることがわかります。これこそが、私ども東海大学医学部の教育方針である「常に患者の気持ちを考えることができ、また問題解決能力を有し、さらに確かな医学的知識と医療技術を身に付けた医師、すなわち良医の育成である。」とも言えます。今後も私どもは、実戦力を備えた良医育成のための医学教育に医師国家試験の内容も取り入れながら、より質の高い医学教育を目指したいと思っています。
 今後とも星医会の先生方のご指導、ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。




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