星医会 東海大学医学部同窓会
 
 会報(第43号)
 〜平成22年9月1日発行〜


新医学部長からのメッセージ

より成熟した医学部を目指して
医学部長 今井 裕

 2010年4月1日付けで前医学部長の猪子英俊先生の後任として、医学部長を拝命いたしました。医学部は東海大学という大きな大学組織の中の1学部でありますが、4つの付属病院、そして極めて多くの教職員や職員を抱えている大変に大きな組織でもあります。現在は、その重責をしっかりと受け止めながら、いろいろな方のご意見を伺いつつ仕事を進めております。
医学部の教育理念は、これまで通り「良医の育成」であることに変わりはありませんが、これまでの教育カリキュラム等を見直す良い時期でもあります。第一には、基礎医学で学ぶ講義内容と診療医学の各科目内容との連携をいかに効率良く構築するかという問題があります。これには講義内容に踏み込んで、低学年と高学年の科目担当者間で調整する、あるいは臓器別に系統立ったカリキュラムを再構築するなどが必要になるかもしれません。第二には、学生諸君に「考えて学ぶ」ことの重要性をいかに教えるかにあります。Problem based learning (PBL)と呼ばれる授業は、自らの力で問題を抽出し、それらの問題を解決できる能力を養うことを目的にしています。実際には、6〜8名の小グループによる討論形式で行い、チューターと呼ばれる教職員が1名配置されます。しかし、PBLにおける学生の評価は、グループの中での学生が討論する内容を聞いてチューターが評価しますが、「個々の学生に本当に考える力が養われたか」を判断することは大変に難しいと言えます。PBLでも、学生ごとに「考える力」を評価するシステムの構築が必要と思います。
現在の医学部学生数は、昨年度より入学定員数が10名増えて110名となり在籍する学生数は合計で656名にもなりました。そのため教職員の方々には、医学教育において、さらにご負担をお掛けすることになり大変申し訳なく思っています。また文部科学省は、増えた10名の医学部の学生が将来、地域医療に従事する医師、あるいは医師の少ない診療科、とくに産婦人科と小児科の医師になるように指導することを条件としています。そこで本校では、将来、地域医療に従事する医師のための奨学金を設定いたしました。幸いにも昨年度および今年度とも、この奨学金を申請する学生があり、卒業後に地域医療に貢献する医師も次第に増えていくと思います。また、来年度には地域医療や僻地医療に関する講義もカリキュラムの中に取り入れ、社会における地域医療に求められる役割、医療設備のない僻地医療に携わる医師に求められる医療技術、そして医療従事者の苦労や喜びについても授業を通して伝えて頂きたいと思っています。また、学生数の増加に伴うもう一つの問題があります。それは、教室や実習室などの施設のスペースです。現在の医学部棟では、増えた学生数を収容するには限界であり、また建物の老朽化に伴う修繕費も問題で、近い将来には、医学部棟および研究棟の建て替えが必要な時期に入ってきました。医学部棟の建築は、現在の病院棟の新築のように十分な計画性を持って準備し、長い将来に渡って医学部の発展に貢献できるような新医学部棟にしたいと思います。
 さて、今年度の第104回医師国家試験の結果は、新卒108名が受験し、99名が合格、9名が不合格でした。合格率は91.7%です。全国平均は92%でしたので、東海大学は全国の大学の中で、ほぼ平均であったと言えます。なお、既卒生は22名受験しましたが、合格は11名、不合格も11名で、合格率は50%でした。今年度の新卒の成績を見ますと、総合試験の結果と極めて強い相関がありました。不合格者9名のうち、総合試験の結果が47位の学生が1名残念ながら不合格となってしまいましたが、残りの不合格者8名は、全員100位以下の成績でした。今年も総合試験の合格点は75点といたしましたが、76.9点の学生は合格したのに対し、76.7点以下の学生は不合格でした。総合試験における合格ラインの決め方は極めて難しいと言えます。なお、今年度からは、国試対策委員長を血液腫瘍内科の川田浩志先生にお願いしています。これまで使用していた総合試験準備問題集は、4年から6年生の3学年で履修するように、この3年間を掛けて変更してきましたので、現在の6年生は準備問題集のほかに新しい教材を用いて意欲的に総合試験に取り組んでいます。
外部研究費の獲得に関しては、今年度、文部科学省の科学技術振興調整費「若手研究者の自立的研究環境整備促進事業」に採択され、「国際的研究者を育て得るメンター研究者」プログラムを今後5年間で実施することになりました。本プログラムは、若手研究者が任期付きの雇用形態で自立した研究者としての経験を積み、厳格な審査を経て安定的な職を得る仕組み(テニュアトラック制度)であり、国際公募をこれから開始いたします。将来、本学の研究指導を中心的に担うことのできる広範囲な知識と能力を持つメンター研究者を養成するプログラムです。これから行う候補者の公募や採用は、今後の本学における研究活動を左右する極めて重要な作業であると言えます。
東海大学医学部は、これからも教育、研究、診療とそれぞれの分野で活躍できる若い医師を育成し、本学の発展に努力したいと思っています。今後も星医会の皆様には色々とお世話になりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。


◇第104回医師国家試験結果
 本学卒業生

受験者数 合格者数 合格率
新 卒 108 99 91.7%
既 卒 22 11 50.0%
合 計 130 110 84.6%


 全国平均

新卒合格率 既卒合格率 総合格率
国立大学平均 94.0% 53.7% 90.8%
公立大学平均 95.3% 65.8% 93.6%
私立大学平均 91.1% 52.6% 87.1%
総計平均 92.8% 52.4% 89.2%


◇回数別合格状況(本学・全国)

回(年度) 受験者数 合格者数 合格率 受験者数 合格者数 全国合格率
第100回(2005) 122 103 84.4% 8,602 7,742 90.0%
第101回(2006) 117 106 90.6% 8,573 7,535 87.9%
第102回(2007) 110 88 80.0% 8,535 7,733 90.6%
第103回(2008) 107 82 76.6% 8,428 7,668 91.0%
第104回(2009) 130 110 84.6% 8,447 7,538 89.2%




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