星医会 東海大学医学部同窓会
 
 会報(第43号)
 ~平成22年9月1日発行~


星医会賞

第16回星医会賞報告

星医会賞担当理事 今岡 千栄美(3期生)

 本年3月7日、星医会総会において星医会賞の表彰が行われました。
今回、受賞の栄誉を勝ち取られたのは外科学系整形外科学の檜山明彦先生(23期生)です。
論文表題は、Activation of TonEBP by Calcium Controls ƒÀ1,3-Glucuronosyltrasferase-Ⅰ Expression, a Key Regulator of Glycosaminoglycan Synthesis in Cells of the intervertebral Disc です。 残念ながら檜山先生は海外での学会出張中のため、代理の方の受賞式となりました。
 そして、星医会賞奨励賞には内科学系腎代謝内科学の金井厳太先生(23期生)が選ばれました。おめでとうございます。
 最後に、残念ながら受賞には至りませんでしたが、今回ご応募いただきました先生方、ご尽力、ご協力いただいた皆様方に心より御礼申し上げます。
 今号に檜山先生、金井先生の受賞論文要旨を掲載しておりますのでぜひご精読ください。

 今年も既に、このお二人の先生に続く卒後10年以内の若手研究者諸氏の成果を募集受付しております。高質の研究成果で賑わう星医会賞を期待しております。





第17回星医会賞募集

 応募方法 (申請用紙は前頁)
1. 自薦・他薦は問わない
2. 英語あるいは日本語による学術論文とし、本会会員が筆頭著者であるもの
3. 資格は本会入会後10年以内の者とする(本年の場合は、22期生以降)
4. 締切は毎年11月30日
  (前年12月1日から当年11月30日までに掲載された学術論文(ひとり1論文)
5. 別刷またはコピーを5部を申請用紙と共に提出する

 問合せ及び応募書類送付先
〒259-1143 神奈川県伊勢原市下糟屋143 東海大学星医会事務局
          TEL:0463-93-1121(内線4104) FAX:0463-91-5913



第16回星医会賞

Activation of TonEBP by Calcium Controls ƒÀ1,3-Glucuronosyltrasferase-Ⅰ Expression,
a Key Regulator of Glycosaminoglycan Synthesis in Cells
of the intervertebral Disc

檜山 明彦(23期生)

【目的】
近年, ヘパラン硫酸およびコンドロイチン硫酸を結合したProteoglycan (PG)の研究が進むにつれ, 糖の構造および硫酸基の配置が, 細胞成長, 分化などにおいて, その特異性に関与している事がわかってきた.
ヘパラン硫酸やコンドロイチン硫酸などの硫酸化Glycosaminoglycan(GAG)鎖は, コア蛋白質に共通の四糖構造(GlcAβ1-3Galβ1-3Galβ1-4Xylβ1-O-Ser)を介す事で伸長しPGとして合成される. この特定の結合領域の生合成には糖転移酵素のgalactose-β1,3-glucuronysltransferase-I(GlcAT-I)が関わっている. しかしながら, 椎間板におけるGAG鎖の生合成メカニズムは未だ未解明である. GAG合成には細胞内Ca2+濃度の関与が指摘されており, その引き金となる蛋白質は新創薬分子の候補となりうる.そこで今回, GAG合成に関与する糖転移酵素GlcAT-I に注目し椎間板内Caシグナルを検討した.
【方法】
新生Rat(生後2日齢)(n=12), 成熟Rat(12週齢)(n=12)を屠殺後, 椎間板培養細胞中のGlcAT-I発現をそれぞれ, 免疫組織染色, Real time PCR法, Western blottingで検討した. 次に3種類 (GlcAT-I-D:-1170/+61)(GlcAT-I-M:-274/+61)(GlcAT-I-P:-123/+61 TonE,NFAT binding site欠失)のreporterを用いGlcAT-I promoter活性を各実験で計測した. (実験1: Ionomycin (IM)(1ug/ml)とPhorbolmyristate acetate (PMA)(100ng/ml)で刺激し評価. 実験2:Ca chelator BAPTAで刺激し評価. 実験3:NFAT5(TonEBP)の影響をDN-, WT-TonEBP plasmidとtransfectionし評価. 実験4:TonEBP+/+, -/-MEF cellを用い評価. 実験5:CaシグナルのdownstreamであるCalcineurin (Cn)や各NFAT(1-4,5)の影響をCn inhibitor, expression plasmid, CnA WT, KO-cellを用い評価).
【結果】
GlcAT-Iは椎間板中に発現していたが, そのうち特に髄核に強発現していた. 蛍光染色でも椎間板細胞中のGlcAT-Iの局在は細胞質内に認められた. IM/PMA刺激はGlcAT-Iの遺伝子, 蛋白発現を増加させた.
GlcAT-I promoter活性の評価では, 実験1:IM/PMA刺激はGlcAT-I-D 活性を約150-180%上昇させたが, GlcAT-I-Pでは変化なかった.実験2:BAPTAはGlcAT-I-D prompter活性をIM/PMA単独刺激と比較し有意に抑制した(約35%抑制). 実験3:TonEBPはGlcAT-I-D promoter活性を調節していた. 実験4:TonEBP-/-+/+と比較し有意にGlcAT-I-D promoter活性が低かった(約50%抑制). これはIM/PMA刺激においても同様であった. 実験5:Cn,NFAT1-4はGlcAT-I-D promoter活性を抑制した.
【考察と結語】
今回, GAG合成に関与する糖転移酵素GlcAT-Iの椎間板発現を初めて報告した.さらに椎間板細胞内Ca2+の上昇は,GlcAT-I promoter活性を増加させた. これはCnの関与ではなく別のカスケードNFAT5 (TonEBP)が椎間板のGAG合成に間接的に関わっている事が考えられ,椎間板変性症の創薬標的となりうる可能性が示唆された.




第16回星医会奨励賞

ヒト副甲状腺培養細胞におけるRNA干渉を用いた
副甲状腺ホルモン制御の検討

金井 厳太(23期生)

【背景・目的】
二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)は異所性石灰化による心血管疾患に関与し生命予後を左右する重大な因子である。治療において副甲状腺細胞(PTc)の耐性が問題となる。RNA干渉(RNAi)による副甲状腺ホルモン(PTH)産生の調整はPTcの変化に関わらず対応可能な治療法となり得る。本研究はヒトPTcへのRNAiを利用したPTH合成・分泌抑制を目的とし行われた。
【方法】
手術摘出組織よりPTc初代培養モデルを作成しPTH mRNAと相補的なsiRNA(small interfering RNA)を用いて、細胞内のPTH mRNAおよび培地中に分泌されるPTHの推移を各々定量リアルタイムPCR法とELISA法にて測定した。PTc長期培養モデルを開発し同様に120日間の観察を行い併せてKi-67抗体、Caspase-3抗体、CaSR抗体による免疫組織化学的評価を検討した。ヒトPTc移植マウスを作成しPTH mRNAに対するin vivo RNAiを行った。siRNAを尾静脈より注入し血清ヒトPTHをELISA法にて測定した。
【結果】
PTc培養モデルにおけるin vitro RNAiの効果としてPTH mRNAは遺伝子導入後1日目より対照群と比較し、90%の抑制が持続した。分泌PTHはAnti-PTH siRNA 10 , 20 , 40 nMの投与により濃度依存性に対照群に比較し各々40, 60, 80 %の抑制を認め4日目をピークに分泌を減衰させた。3次元培養によりPTcは1x106の細胞塊を形成した。それは60日以上安定したPTH分泌を維持した。PTc長期培養モデルにおけるin vitro RNAiの効果として分泌PTHは1日目から60日以上にわたり抑制を維持し80日以降より対照群のレベルに回復した。その免疫組織化学ではCaSR発現は顕著に反応性を保持していた。Ki-67およびCaspase-3発現の明らかな変化は認められなかった。PTc移植マウスにおけるin vivo RNAiの効果としてAnti-PTH siRNA 40、80、120 μgの投与により血清ヒトPTHはそれぞれ56.8±6.8、70.1±10.7、78.5±0.6 %の抑制効果を認めた。siRNA 120 μgにおける抑制は2週間以上持続した。
【結論】
in vitroおよびin vivoにおけるPTcでのsiRNA投与によるRNAiによるPTH産生抑制が認められた。これらは2HPT患者における治療としての可能性を示唆するものであった。




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