星医会 東海大学医学部同窓会
 
 会報(第44号)
 〜平成23年3月1日発行〜


巻頭言

“こだわり”を持つこと
星医会理事 島田 英雄(4期生)

 今回、第44号の巻頭言を書かせていただくことになりました。4期生で東海大学付属、大磯病院の外科に勤務しております。星医会の評議員に推薦いただき平成21年から理事に任命され、早3年目を迎えることになります。
 さて、星医会の皆様は“こだわり”についてどのようにお考えでしょうか。“こだわり”にはどうも良い意味合いと、そうでない意味合いがあるようです。些細なことにこだわり、思い悩むのは良くありません。しかし、こだわりを持ち信念を貫くことは良いことでしょう。自分の仕事や生活に“こだわり”がなくなってしまったら、それは恐ろしいことだと思います。仕事や私生活でも無責任となり、達成感や充実感なく向上も期待できないでしょう。
 私には仕事と私生活において各々“食”についての”こだわり”があります。
一つ目の食は、東海大学での食道疾患に関する診療、教育、研究です。昨年、ご逝去された三富利夫教授のもと、また、現在、八王子病院の総病院長をされている幕内博康教授のもと20年以上、あらゆる食道疾患の診断、治療について勉強をさせていただくことができました。食道は、その名の通り口腔から胃までの食物の通り道です。単純な臓器にみえますが、食道癌の診断と治療には、未開拓地が沢山あります。食道癌の診断から治療は一貫してあるべきと指導されてきました。診断の結果から個々の症例に対し、どのような治療法が最も適しているか選択しなくてなりません。
 昨今、多く疾患に対する治療ガイドラインなるものが出されています。しかし、これらガイドラインに従えば、意図も簡単に最適な治療指針を選択できる分けではありません。実臨床では、症例により併存疾患やリスク、また家庭環境や社会的な状況も大きく異なります。これらも治療方針の決定には欠かせない大切な要因です。画一的に物事を決めると誤りが生じます。自分の両親や家族にも受けさせたい治療かどうかを振り返る必要があります。ガイドラインなる物を盲信し、盲従することのないようにしなくてはなりません。人生のガイドラインなるものは存在するのでしょうか。きっと両親や先輩や後輩、友人など自分を取り巻く多くの人々から影響をうけ、各自が作成し、より良く改定されることが期待されます。
 さて、二つ目の食は食事です。私、食事にはとても興味があります。素材の旨みにこだわり、美味しく食べられる日々に感謝しています。健康であれば、食事に対する感謝の念は薄らぐと思います。しかし、食事ができなくなる状況は、多くの疾患で頻繁に遭遇します。食事が出来なくなれば、生きるためには何らかの方法で栄養補給を受けなくてはなりません。実際には点滴か経管栄養になります。本年、1月の「私の視点」という新聞のコラムで「終末期医療 安易な胃瘻はやめて」が掲載されました。食にこだわり、日常診療でも胃瘻造設に関係している者として関心を引くものでした。意識も低下して食べられなくなったら寿命なのでしょうか? 急性期病院では、脳卒中の治療が終わると、在院日数短縮のため胃瘻を造設し、療養型施設への早期退院を促すと指摘していました。問題は複雑で議論も多い点と思われます。皆様はどのようにお考えでしょうか。
 巻頭言のタイトルですが、私は、良い意味での“こだわり”は大いに持つべきと考えております。
星医会に所属する医師として、また理事の1人としても“こだわり”を持ち、画一的なものに盲従することなく、今後のさらなる東海大学医学部と星医会の発展に少しでもお役に立てればと思います。


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