星医会 東海大学医学部同窓会
 
 会報(第46号)
 〜平成24年3月1日発行〜


巻頭言

超高齢化社会と自分
星医会副会長 谷亀 光則(4期生)

 星医会員の皆様、新年あけましておめでとうございます。
 今年もよろしくお願いいたします。
 さて、全人口に占める65歳以上の高齢者の割合を高齢化率という。「65歳以上」=「高齢者」とはWHOが勝手に決めたそうである。「65歳以上」を対象に「65歳以上を高齢者と呼んでいいか?」という投票をしたら否決されたに違いない。この高齢化率が7〜14%を“高齢化社会”、14〜21%を“高齢社会”と呼び、そして21%に達すると“超高齢社会”と呼ぶ、と国連が決めたそうである。国勢調査によると、我が国は1970年に7.1%となり高齢化社会へ、1995年に1.6%とは21.5%と超高齢社会の仲間入りをした。そして2010年の推計では23.1%と立派な超高齢社会の道を歩んでいる。比率の問題なので、高齢者の増加だけでなく、少子化による年少人口の減少によっても高齢化率は高くなるので少子高齢化とも呼ばれている。そう、生まれてくる子供も少ないのである。
 自分自身も毎年一つずつ年を取っているのだが、それを認識しにくいのと同様に、普段の生活をしていると我が国が超高齢社会になったといってもあまり実感がない。両親や叔父・叔母の老い、周囲の人々の老いなどは体験しているが、それと我が国の超高齢社会とは直接には結びつかない。医師としていろいろな数値は扱いなれているし、臨床データを統計処理して有意差があるとかないとかなど数字慣れしているはずであるが、高齢化率23.1%という超高齢社会の実感がないのは、当たり前のことなのか鈍感なのかさえよくわからない。2000年から介護保険制度がスタートし、要介護高齢者数が増加していることや、周囲に特別養護老人ホームや老人保健施設といった高齢者施設が増え、伊勢原市内で4つ目の小規模多機能型居宅介護施設とやらが最近オープンしたので、やはり超高齢社会なのだろう、と自分自身を納得させる。  20歳の時に今の自分を想像できなかったように、今の自分に80歳の自分を想像することはできない。すでに天国(と決めつけるが)へ行っているかも知れないし、まだ元気であり日野原先生ほどではないにしろ仕事を続けているかも知れない。あるいは身体介護が必要になっているかも知れないし、認知症になって周囲に迷惑をかけているかも知れない。その時はいいケアマネジャーが欲しいなぁ、そして訪問看護師やヘルパーもやさしい人がいいなぁ。その前にいい主治医か、やっぱり(笑)。今の自分は高齢者患者のいい主治医となっているのかなぁ、なんて、こうして巻頭言を書きながら自分を振り返ってみるのもたまにはいいかも知れない。
 さて、今までの高齢化率の上昇は主として地方の問題であった。ところがこれからの高齢化率の上昇は都市部で顕著となる。高齢者が増加するということは亡くなる人の数も増加するので、2040年には今の1.5倍の人が亡くなるそうである。それにもかかわらず医療機関の病床数は少しずつ減っている。民主党政権になり療養病床減少のスピードは落ちたが、少なくとも病床数は増えない。医療機関で亡くなる人が同じであるとすると、今後は、介護施設や有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅などでの看取り、そして在宅での看取りが増えることになる。独居高齢者が増えてきていることを考えると、在宅での孤独死も、きっと、残念ながら、確実に、増えるんだろうなぁ。病院に勤務していると、“病院での看取り”と“自宅での看取り”の二者択一になりがちだが、実は“病院での医療者だけの看取り”、“病院での医療者と家族の看取り”、“自宅での家族の看取り”、“自宅でのひっそりとした最期(孤独死)”に分けられるのではないだろうか。自分はやっぱり孤独死は避けたいけれど、どうなることだろうか? 最期は誰かにそばにいて欲しいものである。


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