星医会 東海大学医学部同窓会
 
 会報(第46号)
 〜平成24年3月1日発行〜


卒業生が活躍する病院 17


医療法人鉄蕉会 森の里病院

院長 太田 和年(8期生)


 こんにちは。8期生の太田です。
 私は現在厚木市森の里にある医療法人鉄蕉会森の里病院で院長を務めています。森の里地区は緑が多く閑静豊かな地区で人口約8,000人が住んでいるところです。私がこの森の里病院に来て11年目になりますが、東海大学の先生方には現在もご支援を頂き多大なるお力添えをいただいて、常々心強く思っており大変感謝している限りであります。
 当法人は医療法人鉄蕉会で母体は千葉県鴨川市において、亀田総合病院(865床)を経営する医療法人鉄蕉会であり、その他に千葉県館山市にある亀田ファミリークリニックや千葉県幕張にある亀田総合病院付属幕張クリニックなどがあります。森の里病院においては62床で小規模でありますが、地域密着型の急性期病院で厚木市の二次救急も受けています。
診療科は、整形外科、内科、外科、消化器内科、麻酔科、循環器内科、呼吸器内科、神経内科、腎・代謝内科、皮膚科、泌尿器科の11科の外来診療を行っています。整形外科においては、現在、18期生、小澤康正医師が大学より出向で来られており、外科においては東海大学出身である16期生、折井 香医師が常勤医として勤務しております。
また、医療器機においてもMRI(1,5T)、CT(16列)、DEXAなど救急患者様を受け入れられる体制を整えており、現在では常勤医師6名と非常勤医師約40名で診療にあたっております。
 私が就任した頃、院内は閑散としており、現在、日に300人を超す外来患者様もその当時は半数にも満たず、入院患者様も半分が埋まればいいような状況でした。しかも患者様のカルテを調べてみると病院周辺の住所がほとんど見あたらないのがショックで今でも記憶に残っております。この時、何よりも地域での信頼を回復することが先決で、そのためには医療の質を上げて行かなければと心に決めました。まず、はじめに行ったのが診療内容の見直しで、中規模な急性期病院でありながら、内科から外科、皮膚科、泌尿器科までと総合的な対応していたため、思い切って自分の専門である整形外科を固めて行こうと思いました。スタッフの配置等を考え整形外科と密に連携を図っているリハビリテーション施設も充実させ、病院の特徴をきわ立たせました。そこで並行して進めたものがあります。患者様にとって解りやすい医療(ID医療=一人ひとりにあった医療)を提供して行くことでありました。それは専門用語をなるべく使用せず、その人に合わせて症状を説明し、最適な治療をアドバイスする。当然、相手が子供やお年寄りとなれば、説明方法を変えなければならなく、私は森の里病院に来るまで、非常勤を含め、複数の病院の医療に携わって来ましたが、実はこうした患者様の目線の診療がほとんど行われてなかった気がして、どこか偉そうで、医師側からの一方的なものだったりというのが気になっていました。私達は一種のサービス業ですから、お客様である患者様の気持ちを第一優先して考えなければならないと思いました。ID医療の重要性をスタッフに理解してもらい浸透するように努め、同時に約130名で構成する組織内の評価も上からではなく、下から上を評価できるシステムを導入し、「みんなで病院を運営している」という一体感を抱けるモチベーションづくりも心がけました。
 2002年には医療機関としていち早くISO9001(品質保証)を取得し、とかく「閉鎖的」といわれがちな病院を外部規格に照らしあわせることで、オープンで透明性を持ったことをアピールしました。
 また、現在も実施しておりますが、周辺地域で開催される祭りやイベントなどに救護班を派遣したり、自治会や老人会にも積極的に出向いて腰痛や骨粗鬆症の勉強会を主催したり更なる地域密着型の医療を目指しました。
 改革を始めて5年経過したときは、外来患者様は倍になり入院施設の方も常時稼働するようになり、地域の方々との信頼回復が実を結びはじめたと実感したころ、私の頭の中では次のステップを描いておりました。ステップアップする手段としてテーマが必要と考え、そのテーマを「Hospital as the Park」と決めました。「公園のような病院」という意味でありますが、公園のように気軽に行ける病院ということと、病院の敷居を低くし従来のとっつきにくさを解消するための改革でありました。すなわち、気軽に病院に足を運んで頂くことが患者様の予防医療に繋がると考えました。
 まず、殺風景な院内を綺麗な壁紙で覆い、緑を至る所に配置しました。特にリハビリ室はドーム型になっているのを最大限に活かし、天井から円状の観葉植物を吊って、今では「ジャングルドーム」という愛称になりました。それと長年、白衣が患者様との距離感をつくってきた気がしたので、病院内で働くスタッフの服装も各自の判断にまかせる基準に変更しました。考えてみると、同じ病院の医師や看護師が統一された白衣を着ることは、医療界ではなかば「当然」とされてます。衛生面や機能面では重要な事だったのだろうが、それは同時に白衣を見るだけで血圧が上がってしまう「白衣恐怖症」という症状があるほど、患者様との隔たりを生んできた原因でもあったと私は思っていました。そうした慣例を続けてきた背景には、白衣のもつ高潔さや権威主義に医療従事者があぐらをかいてきた面も否定出来ないと考えます。もちろん、白衣を着たい人の自由を奪うわけではありません。ただ、見た目で医師だとわかる便利さに甘んじて、きちんと医師らしい責任を果たしているだろうかは疑問です。たしかに制服でないと、最初は患者様も不信がるかもしれませんが、そのぶん、仕事で示せばいいのではないだろうか?そう考えて自由化に踏み切りました。
 その結果、患者様に信頼してもらうため、それまで以上にコミュニケーションをとるようになり、心の距離もぐっと縮まり、今では働く環境が良いと評判もいただくようになりました。
 今後の方向性として町医者的な存在でありたいと考えており、用がなくても気軽に立ち寄れて、よろずの相談に乗れる病院を目指して行きたいと思っております。
 まだまだ課題はありますが、常にチャレンジ精神を持ちスタッフと連携を図り、患者様の立場を考え居心地良い、やさしい病院づくりを提供して行きたいと思います。
 本筆ながら、会員諸兄の益々のご発展を心より祈念いたしております。





卒業生が活躍する病院 18


宗教法人 寒川神社 寒川病院

病院長 鳴海裕之(6期生)


 神奈川県高座郡寒川町は東に藤沢市、西に相模川を挟んで平塚市、厚木市と接し、南は茅ヶ崎市、北は海老名市で区切られております。町内の人口は約4万7000人で、町には金属系の会社をはじめ、工場などの産業が多く立ち並んでいます。その中で寒川病院は町の中央に位置し、町内唯一の急性期病院として地域医療の役割を担っています。
 当院は全国的にも珍しい宗教法人の病院で、昭和44年に寒川外科医院として相模國一之宮である寒川神社によって開設されました。以後、昭和57年には53床の病院となり、平成16年8月には新築移転し、一般病床99床、5階建ての現在の病院が完成しました。母校の東海大学医学部付属病院からは大変近い場所に位置し、藤沢―伊勢原線で約8kmの距離で大学病院との連携に大変便利な環境にあります。
 診療科目は内科、外科、整形外科、耳鼻咽喉科、眼科、健康管理センター、糖尿病内科、呼吸器内科、循環器内科、神経内科、乳腺外科、泌尿器科、皮膚科、脳神経外科の診療を行っています。
 現在の常勤医は12名。そのうち5名の卒業生が常勤医として勤務しています。平成16年8月より鳴海(6期)が病院長を務め、現在は内科医長として武村文夫(11期)、健診管理科医長として車田知之(12期)、消化器科医長には原 正(16期)がついています。
 更に消化器内科から派遣して頂いている渡辺 卓(17期)が診療の有力な支えになっており、他の常勤医と力を合わせ全員で地域に密着した医療を展開しています。
1日に約400人の外来患者が来院し、病院の規模からいうと比較的多い患者数といえますが、東海大学の各医局の御理解、御協力を頂いた結果、非常勤医の大半が大学関連の先生方で外来診療の強力な柱になって頂いています。
新病院になり入院施設は99床と拡大されましたが内容は以前と大きく異なり、全室個室の病室となりました。医療を行う側からすれば特に看護の面で効率が悪く、経営的にも厳しいかと思われました。しかし、現在は患者さんのプライバシー保護の点から大変好評を頂いております。更に院内感染の防止の面からも非常に有用で時代に則した環境と考えております。
 もう一つの特徴として当院では健診事業に力を注いでいます。出張健診、住民健診、人間ドック、各種癌検診を合わせ年間約30000人の健診を行っております。とりわけ今年4月からは乳がんの出張健診を行います。おそらく県内では初となるデジタルマンモグラフイーを搭載した健診車が稼動する予定です。
寒川病院は前述のように寒川神社の地域への社会事業の一環として誕生しました。社会への奉仕が理念の根底にあるわけです。医師の使命は言うまでもなく医療を通じて人の役に立つことであり、私も就任以来、患者さんの役に立つ事、支えになる病院を目指して仕事をして参りました。しかし、医療を取り巻く環境は相変わらず大変厳しく、勤務医不足、看護師不足が当院にとっても、大きな問題となっております。まさに地域の医療が守ることが困難な状態に陥っています。私は、今こそ我々卒業生が団結してこの状態を打開するといった気概で仕事に望むべきではないかと考えております。良医を目指し、そのために教育、研修を受けた我々が踏みとどまるべき時代が来ていると感じています。同時に当院では地域医療をまず守るといった観点で共に働く仲間を募集しています。様々な条件や制約のある先生方も多いとは存じますがご相談に応じたいと考えております。
末筆ながら星医会の皆様には、今後とも当院への暖かいご支援とご協力をお願いいたしますと共に、皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。



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